きっと和菓子が食べたくなるのでダイエット中は注意!『和菓子のアン』

主人公の梅本杏子は食べることが大好きでちょっとぽっちゃり体形の女の子。その体形がコンプレックスで自分に自信が持てず、高校卒業後も就職も進学もせずにいたところ、ふと訪れたデパ地下の和菓子屋さんでアルバイト募集のお知らせを見つけます。

見事採用された彼女は、個性的な同僚に囲まれて日々の業務をこなし、奥深い和菓子の世界を学び、訪れるお客様のちょっと不思議な言動の謎を解き明かしていきます。いわゆる「人が死なない日常の謎」系のミステリー連作短編集なので凝ったトリックのミステリーは苦手という人でも楽しめる作品だと思います。

なにより、登場人物がみんな魅力的なのです。主人公の杏子ちゃんこと通称アンちゃんはぽっちゃりなことを気にしているけど、賢くてしっかり者で相手の気持ちを思い遣ることができるとても優しいいい子だし、店長の椿さんは美人で有能だけれど服のセンスがちょっと残念。

同僚の立花さんは今風のイケメンだけれどその内面はかわいいもの大好きなオトメンで、バイト仲間の桜井さんはさっぱりとした性格の元ヤンな女子大生という感じで、みんなちょっと一癖ある感じだけれど楽しい人たちばかり。

こんな人たちに囲まれて、アンちゃんはバイトを頑張っています。

そしてもう一つ、和菓子の魅力についてもたっぷりと描かれているのもこの作品の面白いところです。

同じ生菓子でも関東と関西で材料が違うこととか、おはぎの別名のこととか、今まで知らなかったことがたくさんあってアンちゃんと一緒に勉強している気分になりました。

アンちゃんがお客様に対して商品の和菓子について説明をするシーンがありますが、それが本当に美味しそうなので思わず和菓子を買いに行こうかという気になります。
ダイエット中の方は要注意かもです(笑)

その和菓子に込められた意味とお客様が持ち込む小さな謎を解くミステリーは、とても優しくて美味しい物語です。